リフォームとリノベーションの違い
近年、インターネット、テレビや雑誌で『リノベーション』という言葉をよく見かけるようになりました。
『リフォーム』と『リノベーション』は一緒の意味なのでしょうか?
同じ意味で使っている方も多く見受けられますし、古くなった住まいに手を加えて新しくするという両者の明確な線引きが難しい部分もあります。
目次
『リフォーム』と『リノベーション』には、実際に違いはあるのでしょうか?
今回は、両者の違いを知っていただき、皆様の住まいづくりの参考になればと思います。
□ リフォームとは
・古くなった設備を入れ替える
・壊れた部分を直す
・汚れてきた内装材を貼り替える
このように、老朽化した場所や設備などを新しい状態に戻す、修復や修繕をすることです。原状回復やメンテナンスと言った方がイメージはつきやすいかもしれません。
機器の交換や修理、仕上げ材の貼り替え、不具合を解消するなどの工事は『リフォーム』と呼ぶことが多いです。
具体的には・・・
屋根や外壁を塗り直したり、クロスや襖・障子の張り替えをしたり、トイレやユニットバス、キッチンが古くなったので新しい機器に入れ替えを行う工事になります。
豆知識
英語の『reform』には、私たちが使っている意味は含まれていません。
『reform』の意味には、
【組織などの】改革、刷新
【制度などの】修正、訂正
【人の】矯正、改心
となっており、普段私たちが使っている『リフォーム』は和製英語なんです。
『remodel』= 改造する が一番近い意味の英語になります。
□ リノベーションとは
用途や機能を変更して、デザイン性や性能性を向上させたり、新しい付加価値を与える工事のことです。
比較的、大規模な工事になるケースが多いです。
具体的には・・・
住まい全体を解体し、スケルトン状態にして間取りを変更したり、配管部分を新しくするなど、大規模に刷新する工事が、リノベーション工事なります。耐震性や断熱性を高める工事もリノベーション工事になりますが、リビングと隣り合わせの部屋の壁をなくし、広々としたリビングにしたり、趣味のシアタールームを作るなどもリノベーション工事に含まれます。
そこに住む人の趣味趣向、ライフスタイルに合わせ新たな価値を与え、より良い暮らしにすることが、リノベーションと言えます。単に新しくするというよりは、住む人の『住まい方』に合わせて、快適な暮らしを実現するために住まいを再生することになります。
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では、次に『リフォーム』と『リノベーション』それぞれのメリット・デメリットを紹介していきます。
下記に紹介する以外にも細かなところもありますが、大きなところを紹介させていただきます。
2.リフォームのメリット・デメリットとは?
□ メリット
①費用
工事を行う箇所や規模、交換する設備によりますが、比較的安価に抑えられます。
仮住まいをしなくて済む工事が多く、仮住まいや引っ越しの費用が掛からなくて済みますので費用を抑えられます。
②工期
こちらも工事を行う内容や規模にもよりますが、比較的短い工期で終わらせることが出来ます。
トイレ交換工事は1日ですし、キッチンやユニットバスの交換工事も3日〜5日ほどです。
③イメージ
リフォームでは、間取りを変更するのではなく機器を入れ替えるといった工事は、元々使っていた物の交換などのため、住み慣れた環境がそのままの状態でリフォーム前とリフォーム後のイメージがしやすい。
□ デメリット
①費用
メリットで費用を抑えられると書きましたが、反面、費用が高くなる場合もあります。
実際に一つの工事では費用は抑えられることが多いです。例えば、キッチンやユニットバスなど水回りの設備の工事をバラバラの時期にリフォーム工事を行う場合と、一度に全てを行う場合とでは、配管工事を行う手間が抑えられるといったようにトータルコストで差が出る場合があります。
②住まいやすさ
リフォームは、老朽化した場所や設備などを新しい状態に戻す、修復することですので、元々の間取りに人が住まい方を合わせることになり、住む人のライフスタイルに必ずしもあった空間にならないことがあります。
現状で、少しでも住まい方に使いにくさや不便さを感じている方は注意が必要です。
③ストレス
仮住まいをせずに気軽に工事が行えますが、その間さまざまな業種の人が出入りや工事中の音や埃が気になったりと、ストレスに感じる方もいらっしゃいます。
昨今、感染症の流行も後押しし、人の出入りには、よりストレスを感じる方も増えております。
また、リフォームする場所の荷物を片づけたり、移動したりすることも必要でリフォームによって疲弊してしまったケースもあります。
□ メリット
①住まいやすさ
そこに住む人のライフスタイルに合わせた空間を設計して自由に作り上げていきますので、住む人にとって、より良い暮らしにすること可能になります。
住む人が住まいに合わせることがなく、住まいが住む人に合わせるので余計なストレスは軽減されるでしょう。
②資産価値
築年数が古い中古物件であっても、新たな付加価値を加えることにより資産価値が高まったり、下がりにくくなるケースもあります。
最近では、リノベーションで新築並みの性能にすることも出来ますので、中古物件だとしても、しっかりと資産価値を高めることが可能です。
③費用
新築をした場合の費用と比べ、工事を行う箇所や規模、内容などによりますが、一般的には新築の購入価格より全体予算は抑えられます。自分好みの自由な設計が可能になるのは非常にメリットになると言えます。
□ デメリット
①費用
リフォーム工事に比べ、大規模な工事になることも多いですし、経年劣化した配管なども新しくするので、費用が嵩むところはデメリットになります。
また、仮住まいをする場合もありますので、仮住まいや引っ越し費用などが掛かることもあります。
②工期
大規模な工事になればなるほど、工期も長くなります。また、工期だけではなく、住む人の要望をヒアリングし、設計・デザインを行っていくので、打合せをする期間も長くなります。
これはデメリットではありますが、自分たちの要望を叶えるためには時間をかけ、妥協はしたくないところです。
リフォームでは、単発工事で考えると一度に支出する費用は抑えられますが、まとめて工事を行う場合の方が費用が抑えられる場合や、最近では補助金が対象となり受給できる場合もあり、その結果トータルコストを抑えることが出来ます。とは言っても、リノベーションの方が大きな額が一気に掛かってしまいます。リフォームなのか?リノベーションなのか?は、依頼する業者に相談して、しっかり検討しましょう。
また、リフォームやリノベーションでは、新築と違って壊してから発覚する不具合などもあります。それにより契約金額よりも上がってしまったなど、予算をオーバーしてしまうことも多々ありますので、打ち合わせ時に内容をよく確認したり、追加で掛かりそうな費用を事前に聞いておくことも大切です。
キッチンやユニットバスの水回り設備からフローリング材、壁や天井の仕上げ材クロスなど、リフォーム専用の商材も限りなくあります。単に値段が安いからと安易に決めるのではなく、お施主様の生活に合ったものを選ぶことをお薦めします。
・『リフォーム』と『リノベーション』の違い
・ それぞれのメリット・デメリット
・ 注意点
3つをご紹介させていただきましたが、どちらが良いということではなく、それぞれにメリットやデメリットがあります。
どちらを選択するかは、自分のライフスタイルにあった選択をするということが重要だと思います。
最近では、リフォーム・リノベーションのどちらも国の補助金や減税などがあります。また、リフォームローンや住宅ローンが残っている方は、住宅ローンの借り換え+リフォーム・リノベーション費用を合わせて対応してくれる銀行もありますので相談してみてはいかがでしょうか?
どちらを選ぶにせよ費用は掛かります。お金を無駄にしてしまったと後悔しないように、いろいろな観点から検討してみてください。
著者
ヤママンリフォーム株式会社
代表取締役 畑仲大輔
住まいづくりが楽しくて仕方がない、お客様の笑顔が大好きな建築屋さんの代表。
住宅建築コーディネーター、リノベーションコーディネーター、ライティングコーディネーター、宅建士、ファイナンシャルプランナー、ライティングコーディネーター等の資格を保有し、様々な視点から住まいのご提案や情報を発信しています。